【保存版】英検ライティングに出る!要約問題のコツ ~後編~ How to Write a Good Summary

【保存版】英検ライティングに出る!要約問題のコツ ~後編~  How to Write a Good Summary

はじめに


前回の記事では、そもそも要約とは何か、そして、要約問題を解く上で重要なカギとなる4つのポイントについて詳しく解説しました。


前編の記事はこちら


この後編では、実践編として、いよいよ実際に実用英語技能検定(英検)の公式サイト上で公開されている問題形式リニューアル後のライティングの出題例より<英検2級>の要約問題について深く掘り下げていきたいと思います。




2024年度 実用英語技能検定(英検)【問題形式リニューアル】出題例 2級
https://www.eiken.or.jp/eiken/2024renewal/pdf/3_grade_2_w.pdf



少し国語の授業のようになってしまうかもしれませんが、要約問題という点では少なからず国語力も問われていると言えますから、英語力と国語力を両方うまく使いながら英語の要約文を書いていきましょう。


では、さっそく実践編に入りましょう!



パラフレーズと要約の違い


前編でも書きましたが、英文要約の問題を解く際には、パラフレーズと要約は異なりますので混合してしまわないよう注意が必要です。文章の要約の仕方がまったくわからず、とりあえず自分の言葉に直そう直そうという気持ちだけでつらつらと書いてしまうと、ただのパラフレーズになってしまい最終的には文字数もかなりオーバーしてしまう恐れがあります。



2024年度 実用英語技能検定(英検)【問題形式リニューアル】出題例 2級
https://www.eiken.or.jp/eiken/2024renewal/pdf/3_grade_2_w.pdf




出題例のページを見ると、要約問題の採点基準の最後に、

・解答が英文の要約となっていないと判断された場合は、0点と採点されることがあります。英文をよく読んでから答えて下さい。

と記載されています。つまり、語数の目安通りの45語~55語になるように文章の一部をただ抜粋して書いただけの解答や、文章全体のパラフレーズをしただけの解答では、0点と採点される可能性も0ではないのです。



それでは実際に、文章全体がパラフレーズ、つまり書き換えになってしまっている悪い例を見てみましょう。


✖ 悪い例:パラフレーズになっている

When students go to college, some choose to live at home with their parents, while others choose to rent their own apartment. There are other options. Nowadays, some of them prefer to live in the same house with roommates. What are the reasons for that? Some students have a roommate who is good at math or science and can give advice on homework. Other students have roommates from abroad and may learn a foreign language through everyday conversations. This enabled them to improve their foreign language skills. On the other hand, some students have a roommate who stays up late watching TV. It can be loud and disturb others’ sleep. Some students have a roommate who rarely helps clean the house. This means they have to spend a lot of time cleaning the house themselves. (135 words)



いかがでしょうか?文字数が原文の154語に対して135語とほとんど変わっていないのはもちろんのこと、太字で示されている単語を見ればわかるように、この文章は所々を別の単語で言い換えているだけで要約文とは言えませんよね。


さあ、それではいよいよ要約問題の解答例を見ていきましょう。


まずは結論から、ということで英検の公式の出題例の文章から導き出せる要約文の例を他にもいくつか紹介したいと思います。これらは前編でもおすすめしたオンラインで要約してくれるAI Summarizerと、それに加えてQuillBotというサイトで自動でSummarizeされた要約文です。

比較できる対象が多ければ多いほど、共通点なども見えやすくなると思いますので、公式の出題例に載っている解答例ともぜひ比較しながら読んでみて下さい。



2024年度 実用英語技能検定(英検)【問題形式リニューアル】出題例 2級
https://www.eiken.or.jp/eiken/2024renewal/pdf/3_grade_2_w.pdf





AI Summarizer の要約文


(AI Summarizerのページでは、Summarizeボタンをくりかえしクリックすることができ、何度もSummarizeをかけて要約文を表示させることができるので、複数のサンプルを使って比較するのに便利です。)

When students go to college, they have different choices for accommodation. Some live at home, some rent an apartment, and some choose to share a house with roommates. This can have benefits such as getting homework help or language practice, but also drawbacks like noise or lack of help with chores.

 (51 words)

When students go to college, they have various housing choices, including living with parents, renting an apartment, or sharing a house with roommates. Some students choose roommates for academic support or language learning, while others face challenges like noise or lack of help with household chores.

 (46 words)




QuillBot の要約文


College students often choose to live with their parents or rent an apartment, or share a house with roommates. These roommates can provide advice, help with homework, or help improve foreign language skills. However, some roommates may be noisy, late at night, or not help with housekeeping, causing additional stress and time spent cleaning. 

(54 words)





さて、上記のようなAIが自動で要約してくれた要約文をいくつか紹介しましたが、これらには〈実用英語技能検定〉というフィルターはもちろんかかっていませんから、実のところ、むしろ英検2級レベル相当の要約文よりもさらにアカデミックで効率的な要約文となっています。

ここまで、いろいろな要約文を読み比べることによって共通点や傾向がおのずと見えてきたと思いますが、それではいよいよ


という疑問にしっかりとお答えするためにも、ここからは英検の公式の解答例を分析していきましょう。



英検公式の解答例を詳しく分析してみよう


では、ここからは前編で書きました【要約を書く上での重要な4つのステップ】を念頭に置きながら、英語の要約文というものがどのように完成していくのか、その過程を詳しく見ていきましょう。

まずはおさらいすると、要約を作成する際に大切な要素は以下の4つでした。

1. 主旨を見つける

2. 簡潔にまとめる

3. ジャッジせずに書く

4. 流れを確認する



※ここからは公式の出題例と解答例を参照してください。



2024年度 実用英語技能検定(英検)【問題形式リニューアル】出題例 2級
https://www.eiken.or.jp/eiken/2024renewal/pdf/3_grade_2_w.pdf





簡潔に要点をまとめるためには、冗長(じょうちょう)な文章や繰り返しのある文章は排除し、段落ができるだけ明確かつ簡潔になるよう心がけましょう。読者に伝えたい主要なポイントを的確に選び、限られた文字数の中でも文章を賢く使い簡潔に伝えなければなりませんから、まずは自分の頭の中を整理してまとめるためにメモを取ったり、いらないと感じる部分をどんどん消去していくというのも有効です。


原文のままだと長文に見えてしまう、いきなり文章全体をまとめられないという方は、まずは重要でないと思う部分を消去していきましょう。



すぐに主旨や主題を見つけられる方もいれば、長文だというだけで気負いしてしまう方などさまざまだと思います。まずは試しに、どんどん不必要な文や一節を消去してみましょう。



では、どんな文なら消去しても良いのでしょうか?
文章の中には、自然な流れを作るために疑問文が入っていることがよくありますが、文字数がかなり制限されている中では疑問文は文字数ばかり使ってしまうため必要ないということが予想できると思います。

そのため、”What are the reasons for this?”は消去して良いことがわかります。




⏵⏵⏵第一段落について⏴⏴⏴

エッセイなどでも論文でも、第一段落ではたいてい「私はこれからこういうことについて書きます」というように、まずは導入部分ではじめてから、“この文章で自分は何について書きたいのか”については第一段落の最後に述べているものです。

この第一段落では、

When students go to college,  → 大学生など学生についての文章だとわかる

・Some decide to live at home with their parents

・Others decide to rent an apartment by themselves

・These days, some of them choose to share a house with roommates.

(第一段落を読めば、間の“There are other choices, too.”はそのすぐ後に具体的な文があるのでいらないということがわかり、とりあえず消去することができます。)

そして、この第一段落の最後の一文にある通り、残りの段落はすべてルームシェアについて述べられていることは一目瞭然なので、おのずとこの文章の主旨が見えてきます。



⏵⏵⏵要約問題を攻略するための最大のキーポイント⏴⏴⏴

有用な要約は、読者に情報を伝えるために情報源を最も重要なポイントのみに絞り込んでいます。原文がある程度長いものをたった一段落でまとめなければならない場合には、文章をセクションに分けて考えるのが有効だということは前編でもお話ししました。

英検1級の要約問題の例題と比べると、2級の例題の文章はかなり短めの文章ではありますが、解答例をよ~く見てください。原文が3段落あるのに対して、解答例は3文です。つまり、一段落ごとに一文にまとめられているのです。このことをふまえて英文を要約するだけでも、だいぶ効率が良くなるのではないでしょうか。



(英検1級のようにこれより複雑な長文を要約する場合、セクションに分けてからそれぞれのセクションを要約するプロセスはさらに複雑化していきます。もしも準1級や1級の出題例と解答例の詳しい解説もしてほしい!という場合は、リクエストをお待ちしています!


簡潔にまとめる上で、原文をセクションごとに分けた後に、各セクションのキーポイントを特定するという作業はとても重要です。文章の要約というものは、その文章の中から最も関連性の高い情報を集め、凝縮する作業です。

最重要ポイントは、原文から文をそのままコピぺすることなく、最も重要な情報やアイデアを抜き出して正確に説明することです。

・Some students have a roommate who is good at math or science and can give advice about homework. 

・Other students have a roommate from abroad and can learn about a foreign language through everyday conversations. Because of this, they have been able to improve their foreign language skills. 


この文章では第二段落と第三段落がメインの段落です。たくさんの事をまとめなくてはならないと気負いしがちですが、こうしてまずはいらない部分を消去してから分けてみると、この第二段落を一文にまとめるのはさほど難しくないことがわかります。


解答例から
By doing this, some students can get help from their roommates with various things, such as math, science, or foreign languages.



次に、第三段落です。計4文ある第三段落ですが、よく見ると次のような関係性であることがわかります。

(On the other hand,) some students have a roommate who stays up late at night and watches TV. 

➡ This can be noisy and make it difficult for others to get enough sleep. 

Some students have a roommate who rarely helps with cleaning the house. 

➡ As a result, they have to spend a lot of time cleaning the house by themselves. 

つまり、大きくまとめると、この第三段落ではルームメイトとはトラブルが起こることがあるという話題に移っており、それは、睡眠時間家のそうじに関してだという具体例が述べられています。

⏵⏵⏵流れを確認しながら書く⏴⏴⏴


短い要約文であるからこそ、文章に流れをつけるにはトランジションワード(転換語)を使い文章を上手に繋げて、内容がより明確に伝わるように工夫することが大切です。

だからこそ、この解答例では本文の“On the other hand”から、Howeverを導き出して自然な流れにしているのです。


解答例から
However, some students have trouble with their roommates, such as trouble about sleeping time or cleaning the house.



このように、少なくとも英検2級のライティングの要約問題については、文章が3つの段落に分かれていれば、それを3つの文に要約するのだと考えれば、だいぶ落ち着いて効率よく要約問題に取り組むことができるのではないでしょうか?


最後に


この記事を最後までお読みいただきありがとうございます。

みなさんが、英文要約問題に今までより少しでも取り組みやすくなればと思い、今回はこのテーマを深く掘り下げてみました。これまでの前編と後編の記事を読んだことで、この度の英検の問題形式リニューアルによってライティングに対して不安な気持ちがあったという方々のその肩の荷が少しでも軽くなれば、それは願ってもないことです。




それでは、ぜひまた次回の記事でお会いしましょう!