バリスタが教えるCafé英会話: Coffee Culture in Australia【後編】

バリスタが教えるCafé英会話: Coffee Culture in Australia【後編】


G’day!

さて、前回のブログでは、ブリスベンにあるカフェJohn Mills Himselfのメニューを例に、コーヒーに関するメニューの見方のポイントや、広くオーストラリアのコーヒー文化について詳しく解説しました。

この後編では、さらに詳しくミルクの種類やお砂糖の種類について、そしていよいよコーヒーの注文の仕方についても実際の英会話のシーンも交えながら深く掘り下げていきたいと思います。



まずは、前編の最後に出題したクイズを見てみましょう。



コーヒーの注文なのに、まるで呪文のようですね。コーヒーショップでは、スタッフにはサービスの速さが求められますし、お客さんの方も、すぐに注文ができるようにと、自然とこのように複雑きわまりない自分のコーヒーをひと言ふた言でさらっと言えてしまうようになるのでしょうね。

Mediumはサイズのことだというのは容易に想像できるかと思います。しかし、それ以外については、???となってしまうものばかりかもしれません。


これらのコーヒーの暗号を解読するには、まずはミルクやお砂糖の種類について知る必要があります。


ミルクの種類について


ふつうの牛乳は、full cream milkと言うのが一般的ですが、他のミルクと区別するためにcow’s milkとも呼ばれることがあります。

日本の低脂肪乳に近いものが、欧米のskinny milkにあたります。skim milkとも言われます。もちろん、low fat milkと言うこともできますね。

さて、みなさんは、Loctose free milkというミルクを飲んだことがありますか?

日本で暮らしていて、実は牛乳を飲むとおなかがゴロゴロしやすいという人は、意外にこのラクトース(乳糖)フリーのミルクを選んで飲む方がお腹を壊しにくくなるということがあると思います。

そして、バリスタの経験上、実は、このlactose free milkはコーヒーにはなかなかおすすめです。このミルクはスチームするとミルクの口当たりがふわりとやわらかくなり、ほんのりと甘味が出てきます。これにより、後からお砂糖をいっさい加えなくても、ふんわりと自然な甘味が感じられるコーヒーを楽しむことができるのです。

注文の際には、lactose free milkと言って頼む人もいれば、カフェで一般的によく使われるZymilブランドそのままに、Zymilと言って注文する人も多くいます。




それでは次に、他の種類のミルクも紹介したいと思います。

Soy milk – 豆乳

Almond milk – アーモンドミルク

Oat milk – オーツミルク

Coconut milk – ココナッツミルク

Macadamia milk – マカダミアミルク

Soy milk、つまり豆乳はもう知っているという人がほとんどだと思いますが、あまり知られていないのは、オーストラリアなどのコーヒー文化においては、特にカフェなどでは有名なブランドであるBonsoyがそのまま豆乳の代名詞となりがちであるということです。前編でも書きましたが、Bonsoyに絶対的信頼を寄せていて、ボンソイがない場合には他の種類のミルクを選ぶという人もいて、コーヒーを頼む前に、最初に「Do you use Bonsoy?(ボンソイ使ってる?)」とバリスタに確認するという徹底ぶりです。


ココナッツミルクに関しては、dietary requirements(ベジタリアン、グルーテン・フリー、乳製品がだめなデイリー・フリーなどをまとめて言う表現です。)やアレルギー(allergy)が理由で選ぶ人が多いように、実際、コーヒーの味をかなり変化させてしまうミルクですが、アーモンドミルクやオーツミルクなどは、フレーバー入りコーヒーなどに比べるとよっぽど控えめでまろやかな味になりますので、興味のある方は、ぜひ一度試してみてください。たとえば、コーヒーにフレーバーシロップを加えると甘くなりすぎてしまうことがありますが、アーモンドミルクを使ったコーヒーは、ほんのりとナッティな香りと味わいが感じられて、エスプレッソを引き立ててくれます。マカダミアミルクもナッツですが、より自然にエスプレッソと調和してくれるのはアーモンドミルクであると思います。オーツミルクはさらにクセがなく優しい味なため、豆乳をさらにまろやかにしたような味わいのコーヒーになります。フラット・ホワイトやラテにおすすめです。


メニューの表記が最小限で多くを語らないスタイリッシュなカフェでも、バリスタさんに直接尋ねてみれば前例があるというのはよくあることです。ただし、そういったカフェで、「スタバのキャラメルマキアートのホイップ追加を再現してくれますか?」とお願いするのだけはやめましょう(笑)


■ 注文する際に、ミルクの種類を指定したければ、onを使って表現します。うしろにmilkという言葉を添えなくてもmilkの種類だということはだいたいわかるので、“on soy milk”とていねいに言わなくても、“on soy” と短く言ってもバリスタさんにはちゃんと通じます。ラクトースフリーミルクのZymilでラテを作ってほしい場合には、”Latte on Zymil, please.”と言えばOKです。





シュガーの種類について


お砂糖の種類というと、日本には白砂糖の他に和三盆、三温糖、黒糖などさまざまな種類がありますが、オーストラリアなどでカフェに置いてあるシュガーのタイプは、WHITE (COMMON) SUGAR、BROWN SUGAR、RAW SUGAR、それからArtificial sweetener、いわゆる人工甘味料です。ブラウンシュガーにはほんのりとキャラメライズされた味わいがあるので、コーヒーにはすすんでブラウンシュガーを選択するという人も多い印象です。ただ、sweetenerを選ぶ人が多くいるのも事実です。そして、これをsweetnerと(総称として)呼ぶ人もいれば、こだわりがあり、この甘味料じゃないとだめ、という人もいます。


上の写真のように、あちこちでよく目にするのは、Splenda、Equal、Sweet ‘N Lowです。

コーヒーを注文する際に、テイクアウトで急いでいたり、または、自分がどれくらいの甘さのコーヒーが好きかはっきりとわかっている人は、お砂糖を最初から入れてほしいので、そのように注文します。


■ テイクアウトで注文する際など、お砂糖を入れてくださいと言葉を添えるときにはwithを使って表現します。つまり、コーヒーにあらかじめお砂糖をティースプーン2杯分入れてほしい場合には、コーヒーの種類の後に続けて、”with two sugars”となります。そして、さきほどのミルクのように、もうお砂糖のことだと互いにわかっている場合には、sugar(s)を言わずに”with two”と表現してしまうこともできます。その要領で、人口甘味料のEqualが好きな人は、”with an Equal”と頼むというわけです。




コーヒーの名前も省略するの?!


Latteのように短い名前のコーヒーは省略されることはありませんが、一般的にMochaccinoはMochaと省略されます。そして、Capuccinoについてはそのまま言う人がほとんどですが、注文する時だけCapと言う人も見られます。つまり、もしもカウンターで列の前の人が、

「Large skinny cap with ½ sugar, please.」

と注文していたなら、それは「L(ラージ)サイズのスキニー(スキムミルクを使った)カプチーノに(ティースプーン)1/2杯の砂糖を入れてください」という意味になります。


 ■ ½ sugarの言い方は、half a sugarとなります。





💭 オーストラリアなどのカフェのお客さんの中には、「フラットホワイトにお湯を混ぜてね」と牛乳との比率を指定してきたり、「エスプレッソの量は1/2で。でも牛乳の量が多いコーヒーは飲みたくないので、マグカップの3/4のラインまでしか入れないでね」などなど、リクエストのパターンはもう無限にあります。


次に海外でカフェに入る際には、ぜひ列に並んでいる他のお客さんのコーヒーの注文の仕方を耳をそばだててよーく聞いてみてください。





【前編】のコーヒーの注文に関するクイズの答え



それでは、これまでの情報をふまえて、答えを確認してみましょう。

Medium skinny cap

これは、M(ミディアム)サイズスキニーミルクを使ったカプチーノ、という意味です。


Strong flat with an Equal

これは、濃いめフラットホワイトEqual(人工甘味料)を入れてください、という意味です。


¾ strength latte with two on Zymil

これは、(エスプレッソの量が)3/4ラテZymil(ラクトースフリーミルク)で作ったものにお砂糖を2スプーン入れてください、という意味になります。



 ■ ちなみに、¾ strengthの言い方は、three quarter strengthです。





Café英会話:コーヒーを注文してみよう!


さあ、ここからは英会話の時間です。こちらで紹介するのは、オーストラリアのカフェに入ると聞こえてくる典型的な会話のやり取りです。

今回、あえて日本語訳を省いています。英語のみでもしも自分がわからない単語や会話表現を発見したら、ぜひその場で調べてみてください。“自分にとって役に立つかも”、“これは使える!”と思えるような表現との出会い、または、英語圏の中でも国による英語表現の違いなどに関する<気づき>があったのなら、ぜひ、あなたのこれからの英語表現の引き出しに加えてみてくださいね♪

では実際にオーストラリアのカフェに入って注文するつもりで、どんな表現が出てくるのかに注目しながら会話を読んでみましょう。

※他の英語圏でならカフェに入って注文したことが何度もあるという人も、アメリカやカナダなど他の国の英語表現との違いを楽しんでみて下さい。





You are at a coffee shop in Australia.


BARISTA: G’day! What can I get you today? 

YOU: Let’s see…(looking at the menu) ①<ロング・ブラックの(コーヒー)の濃さをたずねたい…>

BARISTA: Well, there are 2 shots in that one. Would you like an extra shot? 

YOU: That may be a good idea. 

BARISTA: Anything else? 

YOU: ②「ああ、忘れるところでした。友人の分(のコーヒー)も頼みます。」 

BARISTA: Not a problem. 

YOU: ③「彼女は濃いめのコーヒーは飲めないみたいなので、半分の強さのフラットホワイトをスキニーミルクでお願いします。熱めでお願いしてもいいですか? 」

BARISTA: Having here or take away? 

YOU: Take away, please. 

BARISTA: Can I grab your name? 

YOU: 【あなたの名前またはニックネーム】. Thank you. (Holding an EFTPOS card in your hand) 

BARISTA: (Pointing at the EFTPOS machine) When you’re ready. Won’t be long.




さあ、それでは会話を読み、①から③まで、自分だったらこのような場面でどんなふうに英語で表現するかを考えてみましょう。

これは学校の勉強ではありませんので、もちろん正解はひとつではありません。

今現在の自分なりに、自分の言葉でどんな言い方ができるか、いろいろな表現のアイディアを書き出してみましょう。







それでは、答えと解説の時間です。


これは、ただの英語学習ではなく、日常的にカフェでどんな会話が繰り広げられるのかというオーストラリアのカフェ・カルチャーの紹介も兼ねていますので、模範解答と併せて、かなり詳細な解説も加えています。



①<ロング・ブラックの(コーヒー)の濃さをたずねたい…>

心の中でふと浮かんだ疑問を“声に出して言ってみた”という場面。カフェでメニューを見ながら、「このブラックコーヒーは濃いめなのかな、ちょっと自分には強すぎる/弱すぎるかな?」と思うことってあると思います。

実際には、「ここのお店のロングブラックは濃いめですか?どのくらい強い感じですか?」ということを訊きたいのですが、どんな表現をしたら相手に伝わりやすいでしょうか。

たとえば、“Is a long black strong?”と質問すると、「ロングブラックって強いんですか?」と訊いているだけになってしまい、相手も、「濃いかどうかの感じ方は人それぞれですし…」としか答えることができなくなってしまいます。

より伝わりやすくなるように、「このお店のロングブラックのデフォルトは?」というニュアンスの訊き方をするのがベストだと思います。


How strong is the/your long black?



How strong is ~ ?(~はどれくらいの強さですか?)”と尋ねれば、相手もエスプレッソとお湯の割合などを答えやすいと思います。

ここで注意したいのは、英語の文法上はaを使ってももちろんOKなのですが、この場面では、theまたはyourを使うとより的確な表現になるということです。

その理由は、このシチュエーションにあります。

もし、「(私は今日はじめてロングブラックというコーヒーを注文するのですが、そもそも)ロングブラックとは濃いコーヒーなんですか?」と訊きたい場合には、

How strong is a long black?

となりますが、メニューを見ながらカウンター越しに尋ねているので、<このカフェのメニューにあるロングブラック>、<あなたがたがこのカフェで出している(作る)ロングブラック>ということが、“the”や“your”を用いるだけでより伝わりやすくなります。

もうすでにエスプレッソベースのコーヒーについてある程度の知識があり、そのお店のスタンダードやデフォルトを知りたいだけという場合には、


How many shots are in the long black?

Is a “long black” a single shot or double shot by default?


などと訊くことができます。shotとは、espresso shotのことを指します。(スタンダードとしては、1 shot = 30ml of espressoです。)デフォルトは?というニュアンスを加えたかったら、“by default”を最後にくっつければOKです。



日本では、ホットコーヒーはブレンドかアメリカンのどちらか、という二つの選択肢がある喫茶店が一般的ですが、オーストラリアでは、エスプレッソにお湯を加えたロングブラックというコーヒーがブラックの主流ですので、つまり、エスプレッソの量やお湯の量を変更してもらうこともできるわけです。(これに比べ、アメリカのダイナーなどのコーヒーはコーヒーマシンで淹れているので、店によって濃い薄いの違いはあれど、日本のホットに近いものが出てきますよね。)



②「ああ、忘れるところでした。友人の分(のコーヒー)も頼みます。」

まず、最初の部分は、

Oh, I almost forgot. (ああ、忘れるところでした。)

と表現することができますね。

後半の文については、次のように表現することができます。


I’m going to order (a) coffee for my friend as well. 

I’m going to get (a) coffee for my friend as well. 

I’m ordering (a) coffee for my friend as well. 

I’m getting (a) coffee for my friend as well. 


my friend は a friend of mine に置き換えることも可能です。

すべての例文で“as well”としていますが、代わりに“ ~, too”を使うことも可能です。


硬い表現にしたり、何と言おうか考えすぎたりする必要はありません。

「あ、まだ頼みます。」「友達の分も頼みます。」ということが伝えられれば十分です。




③「彼女は濃いめのコーヒーは飲めないみたいなので、半分の強さのフラットホワイトをスキニーミルクでお願いします。熱めでお願いしてもいいですか? 」


いろいろな表現の仕方が考えられますね。

さて、まずは最初の文を、「彼女は濃いめのコーヒーは飲めないみたいなので、」「半分の強さのフラットホワイトをスキニーミルクでお願いします。」と前半と後半に分けてていねいに訳そうとすると、どのように訳してしまいがちなのかを見てみましょう。

「彼女は濃いめのコーヒーは飲めないみたいなので」

= (I hear/think) she cannot/can’t drink strong coffee, so

とっさに、“濃いめ”ってどう言うんだろう?と迷いはじめると、thick, strong, richなどの単語で迷いそうですね。コーヒーや紅茶の場合、一般的に英語ではstrong/weakを使って濃い・薄いを表現します。

「半分の強さのフラットホワイトをスキニーミルクでお願いします。」

= I would like to have a half strength flat white on skinny milk, please.

とてもていねいな表現ですね。


繋げると、

(I hear/think) she cannot/can’t drink strong coffee, so I would like to have a half strength flat white on skinny milk, please.

となります。

では、次に、もう少し砕けた表現に置き換えたものを見てみましょう。


She can’t really have strong coffee, so can I get a half strength flat on skim (for her), please?

I don’t think she can have strong coffee, so can I get a half strength flat on skim, please?


さて、では続きを考えてみましょう。

熱めでお願いしてもいいですか?

コーヒーを熱めにしてほしいと頼む場合、hotterも使えますが、一般的には“extra hot”という用語が使われます。

ていねいにお願いするのであれば、

May I have that coffee extra hot, please?

May I have that one extra hot, please?

May I ask you to make that coffee extra hot, please?

Will you make that/it extra hot?


などの言い方が考えられますが、他にも

Can I have it extra hot?

Can I have it extra hot, please?

Can you make it extra hot?

Can you make it extra hot, please?


などの言い換えができますね。

もちろん、「Extra hot, please.」でも大丈夫なのですが、この会話文では、自分のコーヒーと友人のコーヒーを2種類注文しているので、コーヒーに続けてすぐにit/thatを使って表現することにより、「今頼んだ方のコーヒーだけ熱めで」というニュアンスをしっかりと伝えることが大事です。




まとめ


今回は、私のオーストラリア在住の頃のバリスタの経験から、オーストラリアのコーヒー・カルチャーに関する情報を発信したいと思い、『英語を使って、コーヒーを自由にカスタマイズして注文してみよう!』というテーマでお送りしました。

前編では、オーストラリアのブリスベンにあるカフェJohn Mills Himselfのメニューを例に、コーヒーのメニューの見方を詳しく解説。後編では、カフェでコーヒーをカスタマイズする際にポイントとなるミルクやシュガーの種類についてや、実際にカフェで英語を使ってコーヒーを注文してみるというところまで詳しく解説しました。


みなさんも、今後、カフェで英語でコーヒーを注文する際には、ぜひいろいろなカスタマイズにトライしてみてください♪